【BA】急落中のボーイングは買いなのか
今週の動意銘柄は何と言ってもBAでした。痛ましい事故のなかでやや不謹慎な気もするがこの事故を受けたBAの株価に興味が行くのは株式投資家の性。この場面でこういう人間性が滲み出るあたりが一般人から株式投資家が嫌われる要因の一つなのかもしれません。
BAの株価
事故前の3/9(金)BAの株価422ドルから3/10に起きた事故を受けて週明けは一時10%を超える大幅安。現在も378ドル付近で推移しています。短期的にはこの下げは非常に魅力的に見えます。
一方で、チャートを少し長めに見ると実はこの下げは2017年の急上昇後の2018年の水準に戻っただけにも見えます。さらにPERも依然20倍を超えています。
このことから私はBAの株価が十分に割安になったとは思えません。主力機体であるボーイング737 MAXの受注への影響や今後のネガティブヘッドラインが出るリスクを考慮するとまだ買うには早いかなと。
もちろん事態の収拾が思いのほか早く終わるなど影響が限定的となる可能性もあります。米中貿易問題の進展次第では中国がボーイングを大量受注するのでは、という思惑も事故前はあったようなので自体が好転しだすと戻りは早いかもしれません。その時は縁がなかったと思って諦めましょう。
世界中の投資家がこの下げを買いの好機か否かを見定めていることと思います。個人的には今はややリスキーなギャンブルに近い状況と思いますので焦らず冷静に判断して行きたいです。
【バフェット・ポートフォリオ分析】バークシャー2018年後半にアップル株一部売却
昨日、米国証券取引委員会(SEC)からウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの2018年4Qの取引銘柄が公表されました。4Qといえば悪夢のような株価急落セッションです。この期間でバークシャーはどういった投資を行ったのでしょうか。
目に留まった買い銘柄は、JPモルガンとゼネラルモーターズの買い増しと、レッドハットとSuncor Energyの新規買い付けです。一方、売り銘柄はやはり何と言ってもアップルの売却です。またオラクルに至っては持分を全て売却したようです。ポイントを絞ってみていきましょう。
JPモルガンとゼネラルモーターズは両方とも昨年の3Qに市場予想を上回る決算を出していました。バークシャーは持分をJP、GMとも4割近く増やしているので、アグレッシブに買い増していると言えますね。JPが15億ドル、GMが8億ドル程度に相当する額です。
レッドハットの買い増しは個人的には意外でした。すでにIBMが買収することを発表している銘柄なのですが、どういった狙いがあるのでしょうか。
Suncor Energyの新規買付けは非常に興味深いです。勉強不足ながらSuncor Energyという会社を私はここで初めて知りました。カナダの石油会社のようです。バークシャーが新規に保有開始したニュースを受けてSuncor Energy株も上昇したようです。この銘柄はこれからチェックした方がいいかもしれませんね。
アップルは持分縮小 オラクルは全株処分
一方でバフェットはアップルの持分を縮小したようです。とは言っても現保有量のごく一部ですので、アップルホルダーの方はご安心を(笑)バークシャーが400億ドル以上保有しているうちの高々4億ドルを売った程度です。
実際にはオラクルの処分の方がアップル売却よりもインパクトがありました。オラクルはバークシャーが昨年3Q中に新規保有を開始した銘柄でしたが、4Qになって早々に処分したことになります。売却額はおよそ21億ドルに相当しています。このニュースを受けてオラクルは売られてしまったようです。
昨年後半バフェットの投資術
昨年後半に株価が急遽不安定になったことは記憶に新しいですね。狼狽売りに走ってしまった個人投資家の方も多かったようです。今回のSECの発表はこの期間におけるバークシャーの投資行動が読み取れます。私はこの下落セッションでアップルを新規に買い付けましたが、逆にバフェットは少額ではありますが売っていたんですね(笑)
長期投資を実践している方ならばこれらデータを眺めてみるのも勉強になるものですね。日々精進です。
【SBUX】スターバックスのコーヒーは嫌いでもスタバ株に投資すべき理由
みなさんコーヒーは好きですか?私は大好きで毎日2〜3杯は飲んでいます。
今日は言わずと知れたカフェの巨人スターバックスについて株式投資の視点でその魅力を紹介します。人によってはコーヒーは好きでもスタバのコーヒーは嫌い!という方も結構いるようですが、投資先としては意見が変わるかもしれませんよ(笑)
ちなみにスタバ日本法人は一時ジャスダックに上場していましたが、2015年を持って上場を廃止しています。現在スタバへ投資するために米国株を買うことになります。
コーヒー市場の拡大
近年コーヒー市場が世界的に拡大しています。日本でも90年代は40万トンに満たなかった消費量は、2007年は43万トン、2017年には46万トンを超えてきており上昇傾向にあります*1。
世界的にもコーヒー消費量は着実に伸びてきており、Internation Coffee Organization(ICO)の統計によれば中国では2014年までの過去10年の消費量は15%を優に超える伸び率を占めてしています。しかもいまだに中国にとってお茶はコーヒーよりもポピュラーです。つまりコーヒーの伸びしろはまだまだあるということですね。
実際スタバは中国をアメリカに続く第二の市場として集中投資をしている最中です。
スタバの強力なブランド力
スタバはすでにグローバルなコーヒーチェーンとして強力なブランド力を持っています。これはスタバのような飲食企業が安定的に収益を生むためには大きな強みであり、マクドナルドやコカ・コーラに通じるものがあります。
スタバはその意味では十分に成熟した企業とも言えます。一方でコーヒー市場の拡大を享受する成長性も兼ね揃えており、特に長期投資家にとっては検討に値する企業だと思います。
スタバ株は買い?
足元のスタバの業績を確認し見ましょう。まずは売り上げを見るとやはり着実に伸びていることが確認できますね。
次にEPS。こちらも順調に伸びています。2018年が大きく伸びているように見えるのはスタバが中国の合弁会社East Chinaを完全子会社化した影響が出ていると思われます。
また配当利回りも2%を超えているの魅力的です。
一方で、足元のスタバのPERは26倍と割安感はあまりありません。しかしここ数年の中では比較的買いやすい水準になってきたようにも思います。
私ならばPERの水準はやや気になりますが、安定的な成長性と最低限の配当利回りの高さがそのマイナスを補ってあまりあると判断します。
まとめ
どうでしたか。スタバのコーヒーが嫌いな方でもスタバのビジネスが順調に伸びていることには納得して頂けたのではないでしょうか(笑)。
まだまだ成長を見込めるコーヒー市場においてスタバは圧倒的な世界的リーディングカンパニーです。コーヒー市場の拡大が続く限りスタバは非常に魅力的な投資対象であり続けるでしょう。
まずはスタバ株(SBUX)をウォッチリストに入れて見るのはどうでしょう。これからカフェに行った時、スタバやその他のコーヒーチェーンの見方が変わっているかもしれませんね。
波乱の1月 AAPL Q1決算 株購入
1月が終わりました。年初は株価大暴落から始まる波乱の幕開けでしたが、パウエルFRB議長のハト派発言を機に一気に戻しましたね。いやー、激しい月でした。
月末に行われたFOMCでも正式にハト派会見が行われ株式市場では一旦利上げ懸念は無くなったと言えます。
しかし米中貿易問題や欧州の不安定さ、中国の景気減速などリスクは以前残っています。投資家としては過度に恐れることなく冷静に実体経済の今後の動向を注視していくことになるのだと思います。
AAPL決算 株購入
さて足元では企業決算ラッシュです。NVIDIAのがっかり決算をよそにAMDは強いですね。そんな中、注目されていたAAPL決算ですがなんとか防衛ラインを守りきりました。
Revenue: 84.3 bn
EPS: 4.18
うまく昨年のガイダンスで業績予想を織り込ませたといったところです。個人的にはアップルはもう少し下値リスクがあるかと思っていたのですが、足元の割安感と決算を受けて166ドルで少額購入に踏み切りました。
経済はまだまだ好調を維持しています。また上昇相場に戻ってくることを期待します。
【おすすめ】単純な高配当株式投資がシーゲル流ではない理由
今日は一部投資家の間で話題の、ジェレミー・シーゲル著『株式投資の未来』(以下赤本)について簡単に私見を述べます。
- 作者: ジェレミー・シーゲル,瑞穂のりこ
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赤本はメディアでも取り上げられたことで巷でも話題になり、高配当投資家にとってバイブルとも言える存在となっています。実際、私も赤本に衝撃を受け一発でその投資法の虜になりました。長期投資に興味を持っている方は必読です。
特に赤本が多くの人に影響を与えた理由は、
一部の高配当銘柄の長期トータルリターンはインデックスを上回る
という結論を導いたことでしょう。以下ではそのカラクリを簡単にまとめます。
ちなみに、単に高配当な銘柄に投資をするだけではダメです。その意味は以下の私の記事を読めば明らかになります。
シーゲル流投資のポイント
- 成長の罠
- 長期にわたって稼ぐ銘柄こそS&Pを打ちまかす
成長の罠とは
その時代毎に誰もが伸びると期待する企業やセクター、国というのは存在します。今ならAmazon、Google、AI、ゲノム、中国、インドなどなど。そして実際にこれらの時価総額はライバルと比較して圧倒的に大きな成長を実現しています。
そのため投資家がそれらに投資をすれば大きなリターンを挙げられると期待するのは自然な流れです。
しかし真実は違うのです。
歴史的に見て、その時々の華々しい成長分野に投資する戦略は、実は、誰も見向きもしない退屈な生活必需品銘柄やエネルギー銘柄などに投資する戦略に長期リターンでは敗北しているのです。
なぜでしょうか。それは誰もが期待する成長分野というのは皆の期待の高さだけすでに割高になっているからなのです。株式で言えばPERが高すぎるのです。
ここで株式リターンについて投資家が理解しておくべき原則を以下で赤本から引用しておきます。
投資家リターンの基本原則によると、株主の手にするリターンは、企業の実際の増益率と、投資家の期待するそれとの格差で決まる。
つまり株式リターンを得るためには企業が成長するだけでは不十分なのです。企業の成長が投資家の期待を上回る必要があるのです。
これを前提にすると、皆が成長を信じて疑わない企業への投資でリターンを手にすることがいかに難しいことかがよくわかると思います。
長期にわたって稼ぐ銘柄がS&Pを上回る? 〜①インデックスの弱点〜
次に2点目です。投資の世界においてアクティブ戦略がインデックスのリターンを長期にわたってアウトパフォームすることは非常に困難(あるいは不可能)であることはもはや常識となっています。
しかしインデックスにも弱点があります。
通常、株式インデックスではその対象銘柄の入れ替えが行われます。それまで世間で注目されていなかった銘柄であっても、その後成長産業となり時価総額が一定の規模になってくれば株式インデックスに組み入れが行われます。
AmazonやNetflixだって上場当初からS&P500に組み入れられていたわけではないのです。
ここまで読んでピンと来た方もいるかもしれません。そう、「成長の罠」です。
インデックスに投資をするということはインデックスを構成している銘柄にその配分比だけ間接的に投資することと同じです。つまりインデックス投資は構造的に成長分野への投資を後追いで行なうことになるのです。
インデックス投資は「成長の罠」から逃れることはできないのです。
長期にわたって稼ぐ銘柄がS&Pを上回る? 〜②具体的な銘柄〜
次に生活必需品セクターの代表企業フィリップ・モリス(PM)を考えてみましょう。ちなみにPMはマルボーロブランドで有名な米国の老舗たばこ企業です。
赤本ではPMの長期の配当再投資トータルリターンはS&Pに対して大幅にアウトパフォームしていることが紹介されています。この事実が多くの投資家に衝撃を与えました。
たばこ産業というのは基本的に設備投資費用があまりかからない割に継続して安定的な収益を稼ぐことができる構造をしています。そのため成長性の乏しいたばこ会社は稼いだ収益の大部分を配当金によって株主に直接還元する方法を取ってきました。
さらに過去には健康被害による訴訟問題が意識され非常に割安な水準で放置されている時期がありました。
このためPMの配当金をコツコツ再投資しながらバイ&ホールドし続けた長期投資家は複利効果を最大限に享受し、結果的にS&Pを大幅に上回るリターンを得ることができたのです。
ポイントは割安な水準での配当再投資です。
ここが重要です。PMは成長性はないものの十分な収益を安定的に稼ぎ続けました。そして投資家は収益を配当金として受け取り、配当金をさらにPMに割安な水準で再投資し複利効果を得る、このサイクルが「成長の罠」にはまっているS&Pをアウトパフォームするカラクリなのです。
赤本ではS&Pをアウトパフォームした銘柄についてPM以外にもP&Gやコカコーラ、エクソンモービルなどが紹介されています。
長期投資家は必読
赤本ではこの高配当投資以外にも色々と面白い分析結果が説明されていました。
「成長の罠」に関連して新興国投資においては中国株におけるリターンについても言及されています。
この辺りはまた今度記事にして紹介したいと思います。
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IBM急騰 ECBドラギの姿勢に注目
昨晩のIBMの決算後の動きは痺れました。決算が予想を上回り、ここ数年ではなかった一時7%の上昇率を見せました。株価は少し前まで110ドル台だったのがあっという間に130ドル台へ。久しぶりにスッキリしました。
今日はECBです。ドラギ総裁の利上げ姿勢を見極めることが重要です。近頃の内外でのゴタゴタを踏まえてユーロエリアの景気見通しをどう表現するかにも注目してます。
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記事書いてる途中でドラギ総裁の会見が始まりました。TLTROの再開がアナウンスされなかったことでユーロが反応していますね。インフレ見通しは堅持しつつも景気見通しについては慎重な見方を示していますね。会見途中ですが、ちょっと疲れていて眠いので今日はもう寝ます。おやすみなさい。
BOJ CPI見通し大幅下方修正 IBM 4Q決算好調
今日の日銀決定会合は大方の予想通り政策変更はなし。しかし2019年の物価上昇見通しを1.4%から0.9%へ大幅に引き下げてきました。異次元緩和からもうすぐ6年経とうとしていますが、いまだに物価上昇率2%には届いていません。
これは日本の根深い構造的な問題で、金融政策だけではどうにもならないですね。日本人のデフレマインドを変えるには国の仕組みをそっくり返るくらいのショックが必要なんじゃないかと。
ところで昨日はIBMの4Q決算が発表されました。結果は
- 売上げ 21.8bn (est. 21.7bn)
- EPS 4.87 (est. 4.82)
- 2019年業績予想 13.9bn
全て市場予想を上回ってきました。特にしばらくマイナス成長が続いていたコンサルティングビジネスは前年比4%のプラス成長に転換しました。昨年発表されたRed Hat買収のクラウドビジネスも12%成長したとのこと。
昨年まで6年売上げ減少で苦戦していたIBMですが徐々に調子を取り戻してきたかもしれません。それを市場は期待してか発表後に時間外で株価は6%を超える上昇をしています。
Red Hat買収によりクラウドビジネスでAmazon, Google, Microsoft等からシェアをどれだけ奪えるか。また最近の記事でもあるとおり、量子コンピューターでもIBMはこの分野で先行しており将来が楽しみな会社になっています。ちなみにもともと割安だったこともあり私は昨年末にIBM株を購入しています。この調子で上がれ〜。
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